夫の正しい躾方 11

 
 荒い息をつきながらベッドで横になって休んでいると、濡れたタオルを取りに行っていた慧君が戻って来た。
 慧君は私の頬に掛かっていた髪の毛をそっと指の先で退けると、横向きになって寝ていた私の体を仰向けにして、濡れタオルで汚れた躰を拭いてくれた。
 まだ甘い余韻が残る躰がピクリピクリと反応してしまう。
 全身を拭いた後に、新しいタオルを持った慧君に片足を持ち上げられ、慧君のと自分の体液で汚れた秘所を拭かれた。
「……ぁっ、んぅ……やだ……」
「ちょっと我慢して」
 緩やかな刺激に反応してヒクリと動く秘所を見た慧君は、上げた脚を軽く撫でて私に我慢するように言うと、そこを優しく濡れタオルでもう一度拭き取って素早く終わらせてくれた。
 ギシリ、とベッドが揺れて、慧君が私の隣に寝っ転がった。
 慧君はゴロリと横向きになると、私の腰を引き寄せて、その細くても逞しい腕の中に包み込んだ。


「なぁ……気持よかった?」


 唐突にそんな事を聞かれました。
 恥ずかしかったけど、言われた意味を理解した私は、肩口に顔を埋めている慧君を意識しながらコクンと縦に首を振った。
 確かに、今までしてきた中で、1番『快感』というものを感る事が出来ました。


 慧君が入って来るまでは。


 えぇ、指や舌を使った愛撫には、蕩けそうになるほどの快感が駆け上がって来ましたとも。
 でも、慧君のモノが入って来た瞬間、メリメリ〜って音がしそうなほどアソコが広げられるわ、体の中心を走る得も言われぬ痛みに泣きそうになった。
 それから、濡れていたとは言え、異常な圧迫感と異物感でアソコが悲鳴を上げそうになっている所に、太くて長いものが何度も出たり入ったりして、意識が飛びそうになりましたとも。
 そんな事を思い出していたら、肩口から「むぅ〜」と言う唸り声が聞こえて来た。
 何だろう? と思った時、
「うひゃ!?」
 かぷりっ、と首筋を噛じられた。
 そして、そこを温かくて湿ったモノで舐められる。
「……なぁ、感じたのは……胸を触ったり、ココを弄られていた時だけだろ?」
「ぁ、やぁっ」
 腰に回っていた腕がするすると下へと動く。
 閉じている脚を膝でこじ開けられると、慧君は太ももで私の秘所を摺り上げた。
「ん……んっ、なにす……ひぅっ!?」
 薄い毛を掻き分けて侵入した手が、1番敏感な突起をくりゅくりゅと弄りだす。
 中指の腹でやんわりと円をかくように押していたと思ったら、親指と中指で挟んでキュッ、キュッ、キュッ、と強弱を付けながら摩られた。
 脚を閉じたくても、慧君の脚が邪魔して閉じることが出来無い。
「……力、抜けよ」
 慧君の太ももが、私の秘所から流れだしたモノでどんどん濡れていくのが分かる。
 じんわりとした気持良さが、私の体を支配する。


「ふぅぁ……あぁ、っん!」


 キュッと、私の中が締まったのが分かる。
 緩やかな快感を与えられ、ピクピクと震える肩を慧君は口付けながら宥めてくれた。
「軽くイったな」
 何かを確認するように呟く慧君に、私は少しだけ上がった息を整えながら後ろを向いた。
「なに?」
「ん? あぁ、いや、歩の身体の敏感度を調べてただけ」
「……は?」
 なんですかそれは? と目をぱちくりしていたら、『中』に指を1本ツプリと入れられた。
「んっ!?」
 指はゆっくりと侵入して来て、根元まで入れられた。
「痛い?」
「う……ん。大丈夫」
 数時間前まで、この中でそれよりも大きなモノが出たり入ったりしていたのだ。我慢出来ない痛さではない。
 やっぱり異物感はあるけど。
 それから、指が2本、3本、と増えて、ゆっくりとピストン運動が始まった。
「これは?」
「……大丈夫」
「そうか。───なぁ、クリを弄ってる時みたいに、なんか感じる?」
「うー……ん。……そんなには感じ無いけど、んっ、ちょっとだけ、気持いいところがある、かな?」
「ふむ」
 慧君は私の中をゆっくりと掻き回していた数本の指の動きを止めると、そこから指を離して体を起こした。
 行為が終わったのかと思い、ホッと息を付いた私は───起きた慧君にコロンと仰向けに寝かされていた。

 あれ?
 
 驚いて視線を慧君の方へ向けると、今までにないぐらい真剣な表情をした慧君と目が合った。
 そして、こんな事を言ったら怒るかもしんねーけど、と言いながら口を開いた。
「俺、今まで付き合ってきた彼女のほとんどが、性経験豊富でさ。歩みたいな、処女を相手にしたのが初めてで……結婚してから最初のうちは、慣れない歩に初々しいなーとか思ってたんだけど、何度抱いても痛がる顔しかしない歩に、何で感じねぇーんだよって思えてくるようになっちまったんだ」
「………………」
「だけど、俺が間違ってたんだ。歩が感じ無いからって勝手にムカついて……」


 ───だから、自分が思った通りの反応を返してくれる女性と不倫をしたんだね。


 とは、流石に言えませんでした。
 なので、今も満足に感じることが出来無い私にムカつくのかと聞いてみたら、首を振られた。
 きちんと、時間を掛けてでも、私の快楽ポイントを探せばよかったんだと言ってくれた。
 最後には、痛いだけの思いをさせてゴメンと謝られた。
「で、俺ちょっと調べてみたんだ」
「何を?」
「どうして歩が中で気持よく感じることが出来ないのか。そしたら、初めて知ったんだけど、女って膣だけの刺激でイく人って少ないんだってな。まぁ、Gスポットとか刺激すりゃ感じる事は感じるらしいけど、クリほどは敏感に反応するわけじゃないらしい。中のほうが断然気持よくイけるって言う人もいるみたいだけど、そんなには多く無いらしい」
 慧君は自分で調べた知識を私に教えながら、指を足の付根に近づける。
 そして、プクっと膨れた突起を指でトントンと叩いた。
「なぁ、これはどんな感じ?」
「えっとぉ、ただ触られてるってだけだけど」
「んじゃ、これなら?」
「っ……ん、ちょっと、気持ち、いいかも」
 突起をトントンと叩いていただけだった指の動きが、急に突起を軽く潰す様に押し付け、摺り上げてきた。
 じゅわぁ〜っとした快楽が弄られている突起から広がり、体全体にまで行き届く。
 気持いいなと思っていたら、急に膝を抱えられた。
「入れるよ」
「……ふぇ? あ、待っ───ひぅっ!?」


 準備万端に整った『慧君』が、グプリ、と音を立てながら私の中に入って来た。


 ググググッと腰を進めながら、慧君は私の奥深くまで入って来る。
 いつもであれば、そのまま激しいピストン運動が開始されるのであるが、慧君は何故か『慧君』を全て中に収めても動かなかった。
 どうしたんだろうと思って慧君を見上げれば───目が合った慧君は、私の頬を一撫でしてから「ちょっと動くぞ」と言った。
 ギッ、キシ、キシ、とスプリングの音が響く。
 その音と共に、私と慧君の呼吸音も重なる。
 緩やかなピストン運動とグラインドが交互に繰り返される。
 たまに、性器同士がグッと押し付け合ったと思ったら、そのまま円を描くように擦り付けられる。
 お互いの毛と性器とが擦れ合って、今までに感じたこともない様な気持良さが広がって、私は慧君の首に腕を回して抱きついた。
「ふぅっ、はっ、や……だぁ……ぁっ、もぅ」
「はぁ、はぁ、はぁ、あゆ……あゆ、む」
「ぅんんんっ! ん! ぁっ、もぅやだぁ」
「……もうちょっと、だから」


 一番敏感な突起をグリグリと擦りながら、『慧君』が中に何度も出たり入ったりしていた。


 今までだったら、中を刺激されても全然感じなかったのに……今回は、中と一緒に突起も刺激されているせいか、痛みと異物感と圧迫感の他に、体が他の感覚を拾いつつあった。
 じわりじわりと溜まってくるその感覚に、私はただただ困惑する。
 それでも、体は正直なもので───。

「んっ!」
 キュキュゥッと中が狭まり、中にいる『慧君』を圧迫した。
 それを感じ取った慧君は、自身を根本まで中に押し入れると、そのまま性器同士を合わせながら小刻みに腰を上下に動かした。
 ちゅ、ちゅぶ、ぐちゅんっ、と少し粘ついた水音が、小擦れ合っている場所から聞こえてくるし、下半身からは『慧君』と慧君のちょっと固い毛の感触がダイレクトに伝わってきて、羞恥を煽る。


「ほら、イけよ……歩」


「ぅあ、あ、んあぁぁぁあぁっ」
 耳元で囁かれる熱くて甘い声に、私の脳はショートした。





 まだ大きなままの『慧君』が、にゅぷんっと音を立てながら私の中から出て行く。
 数時間前に体験した強烈な快感とはまた違い、痺れる様な……温かくて甘い感じの気持ち良さが体全体に染み渡る感じがした。
 ふわふわとした余韻を楽しんでいたら、
「あぅっ!?」
 自身の先走り液と私の愛液が付着した『慧君』の先端を、慧君は私の割れ目にピットリとくっ付けると、そのまま腰を動かした。
 曲げた膝を大きく左右に広げられ、腰を少し浮かされた私は、自分の秘所を行ったり来たりする『慧君』を見て、恥ずかしくて顔を横に向けてしまった。
「目を逸らすなよ」
 でも、慧君に顎を取られて、この行為を見るように顔を固定されてしまう。
「女は膣だけでイきにくいらしいけど、GスポットとかPスポット、それにもう1つ強烈に感じる部分があるんだけど……まぁ、そこは追々開発して行くことにして、ほとんどの女性はここ───クリを刺激してやれば感じるんだ。ただ、タッピングじゃあまり感じ無いらしくて、こうやって……擦ってやると……」
「あ、あぁ、やぁんっ!」
「と、気持良さが倍増されるらしい。まぁ、その快感も人それぞれだとは思うけどな」
 何度も割れ目を行ったり来たりとさせながら、「まぁ、俺が何を言いたかったのかと言うと」と言って慧君はこう締めくくった。


「中を擦りながら一緒にクリも刺激してやれば、あゆも一緒に気持ちよくセックス出来るっていうこと。だから、これからは中でもイけるようになる為に、毎日頑張ろうな」


 ニコリと笑う慧君。
 気持良くはなりたいけれど……毎日は、ちょっと遠慮したいと思います。
 

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