手に嵌めていたゴム手袋を外し、啄むようなキスと、舌を絡ませるディープキスを交互に交わした後。
「ちょっと待っててね、慧君」
私はクローゼットの中から大型のバスタオルを数枚取り出し、それを持ってベッドの上に戻った。
羽毛布団をベッドから少し離れた場所に寄せると、持って来たバスタオルを広げて慧君の体の下や横に敷く。
「……何をするんだ?」
「ふふふ。いいことっ♪」
少し不安そうな顔をしながら私を見上げる慧君。
私は慧君の頭の上で拘束している両腕の拘束具(ピンク色のタオル生地の手錠)を、ちょっとキツメに締めた。
そして、期待と不安が混ざった目で私を見上げる慧君にキスを1つ落とし、慧君の長い足を掴んでゆっくりと広げた。
足と足の間に体を入れて、先程射精したばかりの『慧君』をそっと握る。
「……あふぅ……んっ」
射精してもまだ硬度を保っている『慧君』をゆっくりと扱きながら、サイドテーブルに手を伸ばしてローションを手に取る。
この前サイトで、“ある事”を目にしたので、それを今から慧君にしてみようと思っていた。
左手で根元から亀頭までを強弱付けて扱き、右手でローションを『慧君』の先端にトロトロとかけていった。
「んん……っ」
「コレだけで感じちゃったの?」
「あ、くぅっ」
意識しながら少し高い声で聞いてみたら、手の中の『慧君』がビクンと揺れた。
「もっと……感じさせてあげる」
私は、左手で『慧君』の先端がちょっとだけ出るようにカリの部分を握ると、右手の、人差し指から小指の4本を使って、先端を頭を撫でるようにして撫でた。
くちゅくちゅくちゅ、という音が部屋の中に響く。
「あ? んっ、あぁ……い、ん、あぁ……っ、くぅぅ!」
亀頭だけを刺激され、慧君が眉間に皺を寄せて身悶える。
私はその表情を見ながら、先端を摩する手の動きを更に早めた。
「い゛い゛ぃああぁぁあぁっ!?」
ビクリと背中を反らせ、今までにない悲鳴を上げる慧君。
もうちょっと───。
上へと逃げる腰を追いかけ、これ以上体が逃げないように慧君の太股に跨り、摩する手をもっと早く動かす。
「ひっ!?」
「はぁ、はぁ、はぁ……ん、もうちょっと……かな?」
意外に体力がいる行為だわ、と思いながら、一生懸命右手を動かす。
途中、何度かローションを先端に掛けて、滑りを良くする。
『慧君』自身がギンギンに硬くなり、太くなる。
「くぅぅあっ……んっ、んっ、あ゛!? あぁ゛っ!?」
「どう? 慧君。なにか来そう?」
「……あゆ、歩、……くっ……もぅ、だ……め……あ゛っ、あっ、あ゛……っ」
何かを耐えていた様な慧君が、顔を横に背けた瞬間───。
「ひあ゛ぁぁあぁあ゛ぁっ!?」
びゅびゅびゅっ! と『慧君』の先端から透明な液体が吹き出した。
「わ!? ホントに出たっ!」
勢い良く出続ける液体を眺めながら、私の右手は先端を摩り続ける。
「うぐっ、ん……あ……はぁ。はぁ。はぁ。あ……んぁっ!? あ、ダメ! もう、やめて! てを……と、め……ひぐぅ!?」
「わぁ〜、まだ出続けてるよ」
「んぁぁ!?」
「凄ぉ〜い」
「い゛あぁあ゛ぁぁっ!!」
ぐちゅぐちゅと音を立たせながら先端を摩り続けていると、面白いほど、透明の液体がびゅびゅびゅっ! と勢い良く出続ける。
───男の潮吹き。
これを、ちょっとやってみたかった。
私の胸やお腹。そして、慧君の体を濡らす液体は、サラサラとしていて匂いもなかった。
オシッコとは違うみたいだから……。
これは、慧君の初潮吹きを成功させた、と言う事でいいだろう。
ある程度慧君に潮を吹かせた私は、漸く『慧君』から手を離した。
「……はぁぁぁぁ」
手を離せば、慧君が深く息を吐き出した。
胸元に視線を落とせば、胸の上下運動が忙しなく行われている。
ここまで息を切らす慧君を見るのは初めてかもしれない。
「お疲れ様です」
「……ん」
汗で額に張り付く前髪を横にずらしてあげてから、ちゅっ、と額に口付けを落とす。
「どうだった? 気持よかった?」
「あー……なんつーか、やられている最中はどっちかって言うと、辛かった。出したいのに出せない苦しみってーの?」
「ふんふん。で? 潮を吹いた後の感想は?」
「は? 潮!?」
私から言われた『潮を吹いた』発言に、「歩に潮を吹かせたことも無かったのに……男の俺が潮吹きかよ……」とブツブツ言っていた。
あぅ〜と変な呻き声を上げてから、慧君は「やみつきになりそうな程、気持よかった」と言った。
顔を背け、照れたようにして呟く慧君に、私の口元は自然と緩んだ。
「入れるぞ」
ローションがたっぷりと付いた『慧君』が、私の中に入ってくる。
「……ぅんっ」
狭い膣道を、太くて長い『慧君』が奥へ奥へと目指して進んで来る。
入り口がめいいっぱい広がり、ちょっと痛い。
数ヶ月ほど慧君とSEXしていなかった私の体は、どうやら元の狭さに戻っていたようだった。
「んんっ!」
「うあ〜。久々の歩の中、キツクて気持ちいい……」
顔の横に両手を置いた慧君の腕に手を掛けて、ギュッと握る。
───先程とは体勢が代わり、今度は私が慧君に組み敷かれていた。
今までは、慧君をイかせてそのまま終わって寝てしまうのだが、今日の慧君は何かが違った。
潮を吹いて、普段よりも疲れているはずなのに、今日はそのまま私を抱こうとしてた。
慧君とのSEXで、気持ちいい思いをしたことが無かった私は、ベッドの上に寝かせられた瞬間渋ったのだが……。
「歩の中で、感じたいんだ」
なんて切ない表情で言われたら、悪い気はしなかったので首を縦に振ってしまった。
それがそもそもの間違いだった。
「い、痛い……」
目に涙が浮かび、体全体に力が入り硬くなる。
そう、慧君と結婚してから何度もSEXしているのだが、私の躰は何時まで経っても痛みが消え無い。
膣内の異常な圧迫感と異物感に眉間に皺を寄せ、慧君が動くたびに引き攣れるような痛みに襲われ、「早くこの行為が終わってほしい」と思いながら歯を食いしばってその時が過ぎるのを待っていた。
「あゆ、歩」
「やぁ! 痛ぃ……っ」
「落ち着いて、歩。まず、ゆっくり息を吸って……うん、そうそう。その調子」
私の中に根本まで入れた慧君は、そのまま動かずに私の体の色んな部分を撫でながら、私が落ち着くのを待ってくれていた。
どの位私の中にいたのかは分からないけれども、慧君は腰を動かすことなく、唯私の体を撫でてくれる。
「……どう? まだ痛いか?」
「ちょっと痛いけど、大丈夫」
「そうか」
慧君はそう言うと、私の顔を見下ろしながらその大きな手の平で頬を撫でた。
「ちょっとだけ動くぞ」
「ん゛あっ」
膝裏を腕で持ち上げられたと思ったら、慧君の上体が私の体に被さって来た。
膣内の圧迫感が増すのと、今よりももっと私の中に『慧君』が入り込んでくる。
痛いよぉ。
唇を噛み締め、痛みをなんとかやり過ごそう思うけど、上手くいかない。
無意識に体に力が入り、お尻の穴もキュッと締まる。
すると、自然に膣内も締まってしまい、中にいる『慧君』をギュウギュウと締め付ける。
そのせいで、先程よりもさらに『慧君』の形や大きさ……脈打つ動きもリアルに感じられてしまった。
「やぁっ」
「く……っ」
ぎっちぎちに広がる入り口。
目尻から、涙が一筋流れ落ちる。
浅い呼吸を繰り返していたら、首筋を慧君にちゅっと口付けられた。
「ひゃん!?」
急に与えられた刺激に、変な声が出た。
しかし、慧君は私の首筋に顔を埋めたまま、その部分を執拗に舐め続ける。
「……あ? や、けい……くん」
ぴちゃぴちゃ、ちゅっちゅと、濡れた音が私の聴覚を刺激する。
じゅわり、と中が濡れた。
「クスッ。あゆ、ホントに首が感じるんだな」
慧君はそう言うと、腰を私の股間に擦り付ける様に動かした。
「ん゛、ん゛、ん、あぅ、あ……んぅ、あん」
「…………はぁ、どう? ここ……気持よくない?」
「ひっぁ!?」
首を舐められながら、慧君に擦られ、磨り潰される刺激。
そこへ、慧君の手が下に伸びて───突起を親指と中指で摘まれ、そのままグリグリと擦られた。
「ん゛やあぁぁ……っ!」
感じにくい、とは言っても、流石にそこを刺激されれば……体中に電気が走ったような刺激が走った。
背中が反り、宙に浮かぶ足先に力が入って丸くなる。
目の前が真っ白になり、何も考えられなくなる。
「はぁ、はぁ、はぁ」
ちょっと息苦しいけど、ポカポカと体が温まった感じがした。
でも、体が怠い。
「あ、んっ!」
息を整えていたら、急に『慧君』が動き出した。
下から、ローションだけではない、私と慧君自身の体液が混ざり合った───卑猥な水音が聞こえる。
まだ動かないで、そう言おうと見上げたら。
「中を擦られて感じたわけじゃないけれど……俺が中に入っている時に、初めてイッたな」
嬉しそうな表情で笑う慧君に――私は痛みも忘れて、その顔をただただ見詰めていたのだった。