夫の正しい躾方 04

 
 ピュッ、ピュピューッ! っと股の間から噴射される白い液体。
 それと同時に、太股の間に挟んでいるモノがビクビクと震えていた。
 床に溜まる白い液体を見ながら、未だに液を流すモノを脚を摺り合わせてグリグリと刺激してみれば、慧君は「くぅっ……」と呻いた。
 ゆるゆると腰を振っていたが、出し切ると、肩口に顔を埋めながら深く溜息をついた。
「…………わりぃ」
 慧君はそう言うと、ゆっくりと体を離す。
 途端、にゅちゅりっ、と卑猥な音を立てながら『慧君』が股の間から抜けていった。
 後ろを振り向けば、濡れたままの状態で、力を失った『慧君』が目に入る。
 私はスカートの裾を直すと、エプロンでソレを優しく拭いて上げた。
 拭き終わり、慧君が自分自身を仕舞っている間、私は床に投げ捨てられた鞄を拾ったりしていた。
「はい、どうぞ」
「あぁ、サンキュ。───じゃあ、行ってくる」
「そうだ、慧君」
「……何?」
 玄関を開けて、ソソクサと外に出ようとしていた慧君を呼び止める。
 ビクリと肩を震わせながら振り向く慧君に、フフッと笑いがこみ上げた。
「今日は、なるべく早く帰って来てね?」
「いや、でも、残業だから……」
 挙動不審な慧君に、私は近寄って、その耳元でこう囁いた。


「早く帰って来たら……昨日よりも、もぉ〜っと気持ちイイ事して上げる」


 ねぇ、気持よくなりたくない? と耳朶を甘噛みしながら聞けば、ゴクリと慧君の喉が鳴った。
 耳裏の柔らかい部分にちゅっと吸い付き、赤い跡を残してから顔を離せば、今まで見たこともない程の欲望を瞳の中に宿した慧君が私を見下ろしていた。
 ソレを見た私は、ニコッと笑ってから慧君から離れ、「行ってらっしゃい」と声を掛けた。
 私の顔を見ながら複雑そうな表情を見せた慧君は、「……行ってきます」と呟くようにして家を出たのであった。
「…………はぁ〜っ」
 慧君がいなくなり、一人になった所で溜息が出た。
「床を拭いて、ニオイ消しを掛けて……お風呂に入らなきゃ」
 私は玄関に鍵を掛けると、床に散らばった精液を避けるようにして、雑巾を取りに洗面所へと歩いていった。




 ───それから時間は過ぎ、夜の10時になった。

 夕食を作り終え、テーブルに並べられた食器達を見ながら、私は溜息をつく。
 慧君が『残業』と言った日は、ここ2年程、必ず夜中の12時を過ぎなければ帰って来る事はなかった。
 いつもだったら、慧君の夕食だけ残しておいて、私はさっさと寝てしまっていたのだが……今日は、もしかしたら慧君が帰って来てくれるんじゃないかと、期待をしながら待っていた。
 しかし。
「やっぱり、帰って来ないか……」
 壁時計に目をやると、既に10時30分を過ぎている。
「私じゃ……慧君を満足させて上げられないのかな……」
 そんな事を考えながら、顔を洗って寝る準備でもしようかと席を立った時───。

 ガチャガチャ、キィ……ぱたん。

 鍵が開く音がした。
 驚いて玄関に行ってみれば、
「……ただいま」
 そこには、慧君が立っていた。
「お、帰りなさい。今日は早かったんだね?」
「あ、あぁ。新谷達に手伝ってもらったんだ」
「そうなんだ。お疲れ様」
 それから真っ直ぐ風呂に入るか、食事をするかを聞けば、「んじゃ、飯」と言ったので、私はルンルン気分で慧君の夕食を温め直した。
 少し遅い帰りだが、家で使っていないシャンプーの匂いをさせていない慧君に、嬉しさがこみ上げてくるのであった。




「うくぅん……っ! はぁ、んはぁ、……ひっ、あ、あ、あぁぁぁ!?」
 

 食後、ソファーの上で寛いでいた慧君を押し倒した私。
 女の私の力など、慧君ならちょっとした力で抗う事が出来たはずなのに、キスをしながら服を脱がせる間、慧君は一切抵抗しなかった。
 ソレを見た私は、慧君の腕だけ昨日のように頭上で拘束すると、脚はそのままの状態にしておいた。
 ソファーの上で全裸で腕を拘束された慧君を、服を着たままの私が見下ろす。


 ……なんか、私が慧君を無理やり犯している気分だわ。


 夫婦間でレイプ(しかも逆レイプ)って変な感じ。
 そんな事を思いつつ、私は『慧君』を扱きながら、唇を胸に近付けていった。
 ぺろぺろとアイスクリームを食べるみたいに、自己主張している乳首の周りを舐める。
 乳輪の形をなぞるように舐め回す。
 右を舐めたら左。左を舐めたら右───と、交互に舐めていくが、乳首には一切の刺激を与えなかった。
 私はチロリと慧君の顔を盗み見る。
 慧君は与えられる快感に必死に耐えるように眉間に皺を寄せているようではあるが、まだ余裕があるように見えた。


 慧君の乱れる姿が見たい……。


 そう思った私は舐めるのを止めて、軽く乳首を噛んで引っ張り上げた。
「うひゃうぅぅぅっ!?」
 急な刺激に、慧君は悲鳴を上げた。
 私は力を入れ過ぎないように注意しながら、甘噛みをしたり引っ張ったり舌で押し潰したりしてみた。
「気持ち、いい? 慧君」
「……あ、んっくぅ……あ、気持ちい……」
「うふふ、慧君って、ここもとっても感じ易いんだね?」
「ん、んぁ、やめ……も、う……あ、でちゃ……」
「もう出そうなの? しょうが無いな……それじゃあ、1回イッて……」
「ん゛ぁぁっ!?」
 絶頂に達しようとしていたところで、急に袋と竿の根元を締められ、苦しそうな声を上げる慧君。
「うぅ、あ……あゆ、なんで」
 ガチャガチャと手錠を鳴らし、イかせてくれと頼む慧君の声を聞きながら、私はある一点を見詰めていた。
 慧君の足の付根───本人では絶対に気付かない場所に、あるモノがあった。
 それは。


 キスマーク。


 昨日の夜はこんなモノは無かった。
 なのに、キスマークがここにあるということは───それは、慧君が今まで『まほ』の所に行っていたからだ。
 やっぱり、という気持ちが私の中で膨れ上がる。

 どうして、慧君は私だけを見てくれないんだろう……?

 キスマークが付いた部分を人差し指でなぞってから、私はソファーの上から立ち上がった。
「歩?」
 荒い息を吐きながら、私の行動を静かに見守る慧君。
 私は一度寝室に戻ると、“あるモノ”を手に持つ。そして、台所に寄って薄いゴム手袋を手にしてから、慧君がいるソファーに戻る。
 持っていた物を近くのテーブルの上に置くと───腕を拘束している手錠を外し、力が入っていない慧君の脚を掴んだ。


 そして、右手首と右足首を今外した手錠で繋ぎ、左手首と左足首を新しく持って来た手錠で繋いだ。


「───なっ!?」
 目を見開いて驚く慧君を無視して、私は膝を曲げた状態で脚を開く慧君のお尻の下に、自分の膝を割り入れた。
「ちょ、おま、なにして!」
「煩いよ、慧君」
「うぐぅ……っ」
 流石の慧君も、この状況に暴れだす。
 しかし、私は『慧君』をぎゅぅぅっと握って黙らせた。
「───ねぇ、慧君。今日は本当に、残業だったの?」
「………………」
「慧君?」
「そ、それは……」
「本当の事を言って」
「……えぇ〜っと」
「………………」
「…………その」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」

 3、2、1……はい、ブッブー。時間切れ。

 私は目をキョロキョロと泳がせている慧君を無視すると、テーブルの上に置かれている、ある2つのモノを手に取った。
 一つは、使い捨て手袋。もう一つは、ローション。
 ゴム手袋を右手だけに嵌めると、右手全体にローションをたっぷりと掛けた。
「……あ、ゆむ? 一体何を……」
 眉間に皺を寄せ、若干体が震えている慧君を見下ろしながら、私はふふふと笑った。


 さて慧君。私はこれから一体何をするのでしょう?
 

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