ローションを机の上に戻した私は、それからもう1つのモノを手に取った。
ハンドクリームの入れ物に似た、小さな丸い容器である。
その蓋を指先だけで開けると、中に入っているクリームを人差し指で掬った。
「慧君、ちょっと冷たいけど、我慢してね」
「え?」
私は人差し指に付いたクリームを、慧君のお尻の穴に塗った。
「───ひっ!? 冷た!」
キュッとお尻の穴が絞まる。
腰を浮かせて私の指から逃れようとするも、私は両膝で慧君を挟みこんで動けないようにする。
「おまっ……マジでやめろ!」
何をされるのか薄々気付いてきたらしく、顔を真赤にさせて怒る慧君。
「昨日からなんなんだよ! 頭、おかしくなったんじゃねーの!?」
「別におかしくなってないよ?」
「じゃあ、なん───うあ゛ぁっ」
しつこく聞いてくる慧君を黙らせる為、『慧君』を強めにギュッと握りしめた。
「だから、教えたでしょ? “これ”は、躾だって」
「あ、あぁ……はぁっ、ん、んんん ……!」
ゆるゆると、ローションで濡れた手で扱いていくと、慧君は途端に甘い声を出す。
それと共に、クリームを塗りながらお尻の穴をマッサージする。
それから手を変えて、ローションを付けた右手(指)でお尻の穴をモミモミ。
暫くマッサージをしていると───緊張で、ぎゅっと固く閉ざされていたお尻の穴が徐々に緩んできた。
それを見た私は、まずローションが付いた右の小指を、ソっとお尻の穴に差し入れた。
「うぅ……あ?」
小指の第二関節まで入れても、あまり反応が無かった。
そこでソっと小指を抜き取り、私は中指を───今度は根元まで突き入れた。
ジュプン、と音がした。
「ひっぁぁ……あ゛ぁぁ!?」
その瞬間、キュゥゥウっとお尻の穴が締まって、私の中指を締め付ける。
慧君を見れば、眉間に皺を寄せ、口をパクパクと開け閉めしていた。
「うっ、ひぃっ……あ、あ、あ゛う゛ぅぅ……っ」
「ねぇ、慧君。最初に小指を入れられた時、お尻に指を入れられたって気付かなかったでしょ?」
ちゅぷにゅぷと音をさせながら、指をギリギリまで抜き出し、それから一気に根元まで突き入れる。
その抜き差しを何度も行う。
「あれね? 最初に塗ったクリームあるでしょ? アレの中に、ちょっとした痛み止めが入っていたの。だから、穴の周り付近はあまり感じ無いんだけど……中は普通に感じるみたいだね」
「……あ、あくっ……うぅっく、あゆ……や、やめ、ろっ!」
「だぁ〜め」
私はそう言うと、痛み止めが効いているうちに、人差し指も中指に揃えるようにしてお尻の穴に差し入れた。
「ん゛あぁーっ!?」
ギチギチのお尻の穴と、頭を仰け反らせて叫び声を上げた慧君に、ちょっとビビった。
私は空いている左手で、慧君の気を紛らわせるように『慧君』をちょっと強めに扱いた。
すると、苦しさの中にも快楽の表情が混ざってきた。
お尻の穴にモノを入れられる不快感は、私もちょっとは知っている。
いや、別に変なことはしてないですよ?
昔───というか、小学低学年の時に高熱を出し、母親に座薬をお尻の穴に入れられた事があった。
あの時の不快感は忘れたくても忘れられない。
「慧君、苦しくない?」
「ふぁ、は、あ、は……んんっく」
「大丈夫そうだね」
完全に喘ぎ声だけになったその声に、私は左手を動かしながら、お尻に入れた2本の指をゆっくりと抜き差しし出した。
まだまだギチギチな穴だが、ローションのお陰で動きは滑らかだ。
『慧君』の竿の部分だけをしていると射精してしまう危険があるので、亀頭だけに刺激を続ける。
ネットで仕入れた知識によれば、亀頭では快感を得る事が出来るが、射精はしないらしい。
私は次に仕入れた知識を遂行すべく、指の向きをクルリと変えた。
第二関節部分まで入れた指の腹をお腹側───臍の方へと向ける。
それから、指をクイッと折り曲げて内壁をソフトに触った。
「どこにあるのかな?」
私は、“あるモノ”を探す様に直腸のお腹側をスリスリと触り続ける。
「……ふぁぁ、んぁっ……あゆ、あっ、なに……はぁんっ」
「ん〜……ちょっと待って。どこに」
「───あ゛ーっ!?」
「うわっ!?」
とある一点を私の指が掠めた時、慧君が絶叫───。
そう、正に絶叫した。
あまりの叫び声の高さに、私はお尻の穴から指を抜き取ってしまった。
ドッドッドッ、と高鳴る心臓。
背中に、変な汗が出てきた。
「け、慧君? どうしたの……?」
ちょっと体を起こして問い掛けてみるも、慧君は虚ろな表情で荒く息を吐くだけで、答えてはくれない。
別に、痛かった訳でも苦しかった訳でも無い事は、慧君の表情でわかった。
ソレ以外で慧君が絶叫した理由(わけ)。
私は、もう一度指を穴の中に差し込んだ。
その瞬間、ピクリと動く慧君の体。
少し柔らかくなった穴は、私の指を難なく飲み込む。
私は、先程慧君が反応した場所へ指を滑り込ませた。
「はぁ……あ、あ?……ん゛あぁぁあああぁぁあっ!!」
先程反応した場所と同じ場所を摩ったり押したりすると、慧君は涙を浮かべながら身悶えた。
どうやら、ここが男性が感じるポイントでもある───前立腺がある所らしい。
みぃ〜つけた♪
と、口の端を上げながら私はその部分を刺激し続けた。
「あ゛ぁーっ! もう、や、やめ……」
「止めていいの? 気持ちイイでしょ?」
「んあっ、あ、あ、んっく……んふっ、あっ、も、もう……だ、したいっ!」
「しょうが無いな」
私は、慧君のお望み通りに、イかせて上げることにして上げた。
右手の中指は前立腺を刺激し、左手は『慧君』と袋を交互に刺激する。
「ふぅあぁぁあああぁぁっ!!!」
膨張した『慧君』自身がブルリと震え、先端から勢い良く白濁液が吹き出した。
「うわっ!?」
「はぁぁぁぁ……」
出て来る液のあまりの勢いの良さに、慧君の顔が汚れてしまった。
焦った私は、『慧君』の先っぽをお腹にくっつけるようにして、白濁液がこれ以上顔に掛からないようにした。
「もう、大丈夫かな」
チョロチョロと流れ続けていた白濁液が完全に止まったのを見てから、私はソコとお尻から手を離した。
近くに置いていたタオルで汚れた手を拭く。
それから、慧君の顔を覗き込んだ。
慧君は、ポ〜っとした表情で私を見続けていた。
「どう? 気持よかったでしょ? これから毎晩、この感覚を慧君の躰に覚えさせてあげるから」
覚悟しておいて?
そう耳元で囁けば、ブルリと肩を震わせる。
しかし、私を見上げるその瞳には、体とは別に、欲望の光がチラついて見えた。